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研究内容


研究紹介


 次世代ロボット技術はヒトとの直接的な接触を前提としているものが多く,これまでのロボティクス・メカトロニクス機器以上に安全への配慮が重要な課題です.私たちは,機能性材料(電気・磁気粘性流体,磁気応答性エラストマー,形状記憶合金等)や柔軟関節,それらを組み合わせたスマート構造を用いて,安全性の高い医療・リハビリテーションロボット・インテリジェント福祉機器の開発を行っています.本研究室では積極的な医工連携研究を実施しています.


研究紹介(ポスター) クリックで別ウィンドウが開きます

研究室パンフレット2023
(3ページ)
高齢者の行動変化を促す充電できない不便なロボットSPRO
(HAI2025 by Fujisawa)
MR流体アクチュエータを搭載したデルタ型ハプティックデバイスの改良と評価
(Robomech2024 by Matsushita)
小型人工透析システムのためのローラポンプにおけるシェルの形状が流量に与える影響の調査
(SI2024 by Komatsu)
ハンドヘルド型ハプティックインターフェース向けのミニチュアMR流体デバイスの設計
(Robomech2024 by Higashiguchi)
底背屈の支援を切り替え可能な二軸足関節サポータの評価
(Robomech2024 by Iguchi)
制振機能を有する不整地移動台車のためのセミアクティブ型ユニバーサルジョイントの開発
(Robomech2024 by Moriki)
個人の膝動態を考慮した生体模倣型膝関節の開発と評価
(Robomech2023 by Omori)
不整地歩行を支援する義肢装具開発のための片流れ斜面歩行の分析
(Robomech2023 by Watanabe)
フレイル高齢者用の背屈サポートユニットの改良と効果検証実験
(Robomech2022 by Ono)
ツインドライブMR流体アクチュエータを用いたデルタ型ハプティックデバイスの力覚提示性能の評価
(Robomech2022 by Ikeda)
遠隔操作型内視鏡下手術を模擬したハプティックデバイスにおける操作性の改善と力覚提示が操作者に及ぼす効果の調査
(Robomech2022 by Takano)

研究紹介(Youtube)

  1. Robomech2021_1P2C02 MR流体を用いた遠隔手術向け力覚デバイスのための評価システム 2021.6
  2. Robomech2021_1A1C04 フレイル高齢者の歩行意欲を高める背屈サポートユニットの提案 2021.6 (日本機械学会 若手講演フェロー賞受賞)
  3. Robomech2021_1A1C03 個人の顔に適合したフェイスマスクの型紙生成アプリの開発と適合度の評価 2021.6 (日本機械学会 若手講演フェロー賞受賞)
  4. Robomech2021_1A1C02 メル周波数ケプストラム係数に対するガウス関数型評価器による咳嗽抽出の検討 2021.6 (日本機械学会 若手講演フェロー賞受賞)
  5. RO-MAN2021_KikuchiT / Design of Polycentric Assistive Device for Knee Joint 2021.8
  6. SII2020_KikuchiT / Motion Analysis of Transfer Operation from Bed to Wheelchair for Care-giver and -receiver with Wearable Motion Capture 2021.1
  7. 繊細な力覚を提示するハプティックデバイス向けMR流体アクチュエータ【大分大学産学官連携推進機構】2021.8
  8. ロボット+機能性材料+リハビリ【夢ナビTALK】2016.10
  9. 患者のアドヒアランスを高めるリハビリゲームのスコア表示法【中山隼雄科学技術文化財団 第23回研究成果発表会】 2016.9

研究紹介(カテゴリー別)

           

カテゴリーA:
  スマート材料ロボティクス


(A1) スマート材料を応用したメカトロニクスデバイス

電場(Electric field)や磁場(Magnetic field)の変化によって硬さや流れやすさが 変化する流体を機能性流体(Functional fluid)と言います. 当研究室ではMR流体(Magnetorheological fluid),ER流体 (Electrorheological fluid),磁性エラストマー (Magnetic field sensitive elastomer)を用いたメカトロニクスデバイスの設計と 開発を行っています.さらに,開発したデバイスを医療・福祉・その他の工業分野に 応用するための研究も実施しています.
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(A2) 遠隔操作型手術支援ロボットのための繊細な力触覚提示を行うMR流体デバイス, MR-Haptic Master

遠隔操作型手術支援ロボットは今後ますます普及するものと考えられていますが,術者への力フィードバックは十分に行われていないのが現状です.私たちは,繊細な力制御が可能なMR流体アクチュエータを開発しました.現在,これを遠隔操作型手術支援ロボットに応用することを目指しています.

MR流体デバイスと手術支援ロボットの紹介ビデオ

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(A3) セルフリハビリテーションを支援するリハビリロボット, D-SEMUL

我々が現在開発している卓上型上肢リハビリテーションロボットD-SEMULは,機能性流体ブレーキを用いた抵抗力提示型ハプティックインタフェースであり,モータの暴走を心配する必要がないために本質的に安全な装置です.
D-SEMULでは,ソフト,ハードの両面から,ユーザに使いやすいユーザインタフェースの開発を進めています. ロボットリハのプログラムは,ユーザとロボット(もしくはVR空間の仮想オブジェクト)の相互作用によって,困難性を乗り越えて数値目標を達成(向上)させるという意味でゲームとしてとらえることができ,その設計手法を参考にすることが重要と考えています.特に重要なことは,訓練モチベーションを向上させる演出でしょう.現在われわれは,D-SEMULと脳波計,および逆解析手法(sLORETA)を用いることによって,訓練直後の評価画面の演出方法が訓練モチベーションにどのように影響するかを調査しています.
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(A4) インテリジェント制御型短下肢装具, i-AFO


障害でうまく動かせなくなった関節を固定,補助するためのサポータを 装具と言います.短下肢装具は,足関節(くるぶしの関節)用の装具です. 我々は,コンパクトなMR流体ブレーキを足関節に搭載し, 各種センサによって歩行状態を判別しながら 各歩行状態に合わせてトルクを自動調節してくれるインテリジェント制御型短下肢装具 (Intelligently Controllable Ankle-Foot Orthosis, i-AFO)を開発しました.
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(A5) インテリジェント制御型歩行車, i-Walker


主に高齢者を中心に,歩行時の体重を補助し歩きやすくするための 器具を歩行器と言います. また,歩行器には車輪付きのもの(ここでは歩行車と呼ぶ)もあります. 歩行車は可動性が高く,歩きやすい反面,使用者を取り残して 運動してしまい転倒が発生することがあります. 本研究では,市販の歩行車に制御ブレーキを搭載し, 歩行の状態や外部の目印に合わせて 歩行速度や方向を自動で調節でき,歩行中に障害物を見つけた場合には 停止・回避できるインテリジェント制御型歩行車(i-Walker)の開発を行いました.
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(A6) 円筒型MR流体ブレーキを用いたバーチャルサイクリング, VR Cycling

本研究では,円筒型ロータとマルチコイル構造を有する新規なMR流体ブレーキの 開発と,これを応用したバーチャルリアリティ自転車の開発を目的としています. 仮想空間サイクリングにおける細やかなペダル抵抗をMR流体ブレーキによって 実現します.また,このサイクリングシミュレータに対して, 新たに道路環境CG作製システムを開発し,さらにこれを統合することで 新規な高臨場感自転車シミュレータを開発しました. 交通心理学の実験,交通教育,都市開発に応用できます. この研究は,財団法人JKAの支援により実施しました.
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(A7) ハプティックデバイスを用いたバーチャルウォーキング, VR Walking

本研究では,超臨場感バーチャルリアリティシステムの一つの要素として足底面への力触覚を提示可能な新規なデバイスを磁性エラストマーを用いて開発し,これを応用した仮想空間歩行システムを構築しました.
この研究は,総務省SCOPE,科学研究費補助金等の支援により実施しました.
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カテゴリーB:
  スマート構造ロボティクス


(B1) 弾性体内蔵型柔軟関節をもちいた短下肢装具, EEFJ-AFO


我々は弾性体内蔵型柔軟関節(Elastomer-Embedded Flexible Joint,以下,EEFJ)を考案し,歩行中の足首の運動補助に用いることを検討しました.EEFJは,湾曲した板ばねとそれに内包されるゴム状部品の相互作用によって非線形性を有する力学特性を持たせることができます.これにより,歩行中の底屈-背屈方向の足首回りの補助モーメントに方向による異方性を持たせることができ,関節部品の調整可能性を拡張することが可能です.また,内包するゴム状部品は3Dプリンター等を使って異なる弾性率を手軽に再現できます.我々は,このEEFJを脳卒中片麻痺者が使用する短下肢装具(AFO)に応用することを検討しました.このEEFJ型AFOは,従来の弾性体を利用したAFOのような調整容易性を有しながら,ばねやオイルダンパで底背屈に力学的異方特性を付加した単関節型AFOと同様の力学特性を得ることができました.
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(B2) フレイル高齢者のための歩行支援靴, EEFJ-Shoes


近年,健康障害や死亡などを起こしやすい病態であるフレイルが注目されています.日本老年医学会によるとフレイルとは要介護状態に陥りやすい状態であり,しかるべき介入により健常状態に戻ることができると考えられています.そこで我々は,介護予防の観点から,適切な工学的サポートが重要と考え,フレイル高齢者の歩行軽減を行う足首サポートシューズの開発を目指しています.

本研究は競輪の補助を受けて実施しました。

EEFJを用いた背屈サポートユニット(DSU)の紹介ビデオ

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(B3) 生体関節機構を規範としたパワーアシスト, Active BKJ


人間の力を増幅させるパワーアシストシステムの研究が盛んにおこなわれていますが, このような人と機械が直接的に接するシステムにおいては使用者に対する安全確保が 最重要課題です. これまでのパワーアシスト装置は多くが回転中心が固定されているために 人間の複雑な関節運動に細かく適合することが難しく, 中心の不一致は装着者に違和感を与えるだけでなく, 人体に余計な負担を与える可能性もあります. 本研究では,生体関節の動きを規範とした関節機構を開発し, パワーアシストスーツに応用することを目的としています.
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(B4) 生体関節機構を規範とした装具, Passive BKJ


本研究では,トーションバネを用いたパッシブ型BKJアシスト装具を開発しました.現在,このパッシブ型BKJアシスト装具の効果を検証するために,立ち上がり動作の筋電および人間機械間のせん断方向の負担を評価しています.せん断方向の負担として,本研究室ではShear force Sensitive Sheet (SSS)を開発しました.SSSは,転写シート (Copy sheet),凹凸シート(Patterned sheet),記録シート(Recording sheet)の三つのシートで構成され,人間-機械間の接触部に挟んでせん断方向の応力とずれ量を推定することができます.

Polycentric機構を用いたPassive BKJの紹介ビデオ

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(B5) 可変ベルトを用いた新規な座位保持装置, i-Seating


シーティングとは疾患に合わせた座位保持を使用者に提供することであり, 脳性麻痺患者にとって適切な座位保持は,圧力均一化による床ずれ予防と 呼吸器,循環器,嚥下機能の改善などに大きな影響があることが知られている. 脳性麻痺者は異常な筋緊張などが原因で脊柱が3次元的に変形し, これが原因で車いす背もたれと背中の間に隙間が生じる. 現在はウレタンを使用者に合わせて削ったもので隙間を埋めているが, この方法では使用者の体型変化や姿勢変化に即座に対応できない.
そこで本研究は,変曲点を手動で簡易に調整できる可変ベルトを応用することによって 簡便に使用者の姿勢調整と圧力低減を可能とする新規なシーティングシステムを 開発している.
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カテゴリーC:
  ロボットテクノロジーを用いた教育支援とスキル評価


(C1) 安価な視線計測センサと鏡面反射を利用した視線計測法


照射した赤外光が角膜(黒目)に反射してできる反射点をプルキンエ像といい,このプルキンエ像と黒目の中心との相対関係で視線の方向を推定する方法を角膜反射法と言います.安価な視線計測センサは,この角膜反射法を用いています.我々は,小児性まひ等によって体位の自由が利かない重症心身障がい児のために側臥位でも使用できる視線計測系の開発を行っています. 別府発達医療センターにおいて予備的実験を行ったところ,ベッドサイドのスペースが狭くベッドの横に視線計測に必要な600 mm以上のスペースを確保することが困難な場合が多いことがわかりました.そこで我々は,鏡面反射を用いて光路を屈折させ,ベッドサイドとは別の場所にあるモニタ(もしくは壁に投影した映像)を側臥位の被験者に観察させ,同時にEye trackerに視線計測させる方法(以下,鏡面反射法)を提案しました.
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(C2) 移乗動作最適化のための装着型モーションキャプチャを用いた動作分析


本邦では2007年に超高齢社会に突入し,介護人材の急速な拡充に対する教育の不足が問題となっています.介護の現場においては,職業性腰痛を予防するために,動作分析アプリなどを活用して熟練介護者の動作特徴を視覚的に理解し,教育現場に役立てる取り組み等が行われています.しかしながら,介護動作は,介護者と被介護者のインタラクションによって行われるため,それぞれの力学的特徴を考慮した最適な方法があるはずであり,体格の異なる熟練介護者の動作をそのまま模擬しても,自身にとって最適な方法ではない可能性があります.そこで本研究では,特に移乗動作の力学問題に注目し,介護者,被介護者の運動学的特徴から介護動作の定量的な評価手法を確立することを目指しています.
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(C3) 患者シミュレータによる医学教育支援


リハビリテーションの専門家である理学療法士は, その養成校で実際の患者を対象に手技のトレーニングをすることは稀です. そのため,経験不足のまま社会に出ることになります. 本研究では,中枢神経系麻痺のある患者の異常な関節挙動を再現するロボットを 開発し,理学療法士の教育訓練ロボットシステムを実現することを目的としています.
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(C4) 自動速度調整トレッドミルと歩行分析

本研究では,Microsoft Kinectセンサを用いた歩行分析システムの開発と, これを応用した自動速度調整トレッドミルの開発を行っています. 安全装置として開発した力センサ内蔵センサフレームは,筋力不足や認知力低下で 転倒リスクの高いユーザの転倒予防だけでなく,歩行中のサポート力を計測し 支持力を含めた新たな歩行分析を可能とします. Kinectによる歩行分析は,それ単独でも医療施設での簡易な分析装置として 開発を実施中です.
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