後藤研究室

<電磁力加振現象を応用した内部欠陥の検査手法の検討>

 前頁で述べた解析モデルに対して直流磁界解析、交流磁界解析、電磁力解析、変位解析を順に行います。その結果をベクトル分布図にして確認していきます。


直流磁界解析結果

MEA  鋳鉄材内部で分布する永久磁石からの直流磁束分布を直流磁界解析で評価しました。なお、ここでは試験材である球状黒鉛鋳鉄材(FCD600)の初磁化曲線を考慮して解析を行います。解析結果を図に示します。鋳鉄材内部の直流磁束密度分布ベクトルで表していて、赤色に近づくほどベクトルが強くなります。図から交流励磁コイル真下部で鋳鉄材内部の直流磁束が±x軸方向へ平行に分布していることが理解できます。




交流磁界解析結果

MEA  ここでは鋳鉄材内部で発生する渦電流を3次元有限要素法の交流電磁界解析で解析を行います。ここでは全ページで述べたモデル内の交流励磁コイルに、周波数500Hzで実効値2.0Aの正弦波の交流電流を流した場合の解析を行います。交流励磁電流波形1周期を24分割とし、1ステップの時間間隔Δt=8.33×10-5sで解析を行います。渦電流ベクトルの解析結果をアニメーションで示します。図から、鋳鉄内の渦電流は表皮効果により鋳鉄材の表層のみに分布しており、周期的に流れが反転することが分かります。








電磁力解析結果

MEA MEA  直流磁界解析結果から、鋳鉄内表層は±x方向に一定の磁束密度が分布し、交流磁界解析結果から、直流磁束密度分布に直交する方向に周期的に反転を繰り返す渦電流が生じていることが理解できます。そのため、鋳鉄内には周期的に変化するローレンツ力が生じることが考えられます。上述した2つの解析結果から得られた鋳鉄内部に分布する直流磁界と、渦電流の解析結果から鋳鉄内に生じるローレンツ力を計算します。ローレンツ力の解析結果を示します。これらの図からローレンツ力は鋳鉄材表層で±z軸方向へ分布していることが分かります。




変位解析結果

pefc  定常的に分布が反転するローレンツ力により、鋳鉄材表層には500Hzでの振動が生じます。そこで、3次元有限要素法の変位解析を使用し、試験鋳鉄材表層のローレンツ力による電磁力振動を印加した際、引け巣の有無による鋳鉄内の変位を解析ます。変位解析後の鋳鉄材内部の変位ベクトル分布図をアニメーションで示します。この解析結果から、鋳鉄材内部で発生した引け巣を表面の振動の大きさで評価できることが分かります。。



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